発熱や全身倦怠感、皮膚の紅斑などの症状があらわれる難病「全身性エリトマトーデス」。その症状や免疫との関係性などをまとめました。
全身性エリテマトーデスは、全身のさまざまな場所に多岐にわたる症状が起こる難病です。
皮膚や関節の症状がほとんどの患者さんに現われ、皮膚にできる赤い発疹が特徴となります。
その発疹は、オオカミにかまれた痕のような赤い紅斑とか、蝶が羽を広げた形に似ているといった表現で例えられています。
中心の色素が抜けてコインのようになるディスコイド疹と呼ばれる症状もあります。
関節、皮膚、内臓などのさまざまな症状が一度に起こる場合もあれば、次々に起こることも…。
原因ははっきりしていませんが、免疫力の異常が関係しているという説が有力です。
日本国内では2~4万人程度の患者さんがいると言われています。
ただし、これは難病の申請をしている人の数なので、申請をしていない人や、医療機関を受診していない方を含めると、この倍くらいの患者さんがいると推測されているようです。
世界的に研究が進められていますが、原因は特定されていません。
現状では、免疫が関係していると考えられており、何らかの免疫異常により自分の免疫系が自分自身を攻撃してしまう病気だと考えられています。
本来なら、免疫システムは細菌やウイルスから身を守るために働きますが、この病気になると自己を攻撃するため、あらゆる炎症を引き起こします。
また、海水浴、日光浴、スキーなどで受ける紫外線や、風邪などのウイルス感染、怪我、妊娠、出産などがきっかけとなり、発症したり悪化したりすることもあります。
親から子への遺伝率ははっきりしていませんが、頻度は低いながらも、家族内の発症頻度は高いと考えられています。
全身にあらゆる炎症が起こります。
発熱、関節炎、粘膜異常、倦怠感、皮膚の炎症に加え、内臓や血管の病気が加わるケースもあります。
免疫抑制効果のある、副腎皮質ステロイド剤や、免疫抑制剤、ステロイドパルス療法(副腎皮質ステロイドを点滴で大量に使用する方法)、体外循環療法、抗凝固療法、支持療法などの治療があります。
関節炎や皮膚症状だけの人は薬で症状をコントロールしやすく、健常者と同じ生活を送る人も少なくありません。
しかし、腎臓や中枢神経、血管炎などを伴うと、多種類の薬剤を大量かつ長期にわたって使い続けなければなりません。
とはいえ、副腎皮質ステロイドが知られる以前は5年以上の生存率が50%ほどだったのに比べ、今では90%以上の生存率にまで延びています。
病気に打ち勝つためには、基礎的な免疫力を高めることが重要です。
免疫力を高める方法はいくつかありますが、特に大切なのは毎日の食事です。
免疫に良い栄養素をバランス良く摂り入れて、病気に負けない体づくりに励みましょう。