免疫力の向上に効果があるとされる、爪もみの方法と、根拠についてまとめました。
爪もみは、免疫力を高めると言われています。その方法は、指の爪の生え際を約10~20秒、強く押すだけの簡単なもの。1日2~3回を目安に行うと効果があるとされています。
ポイントとして押さえておくべきは、指によって症状や効き目が異なるということ。改善したい症状がある場合は、指を長時間、強く刺激しましょう。
できれば、交感神経を優位にするための「腹式呼吸」を行いながら爪もみをすれば、より効果的とされています。
以下では、指ごとに爪もみの効果が異なる、症状について紹介しています。
なお、足の爪の生え際を押すことでも、下半身全般の症状や血流を改善させる効果があると言われています。入浴中に行うのが効果的です。
こうして見ると、爪もみとは、ツボ押しに似ていることが分かると思います。爪の生え際には「井穴(せいけつ)」と呼ばれるツボがあります。数あるツボの中でも、井穴に注目した療法が爪もみなのです。
ところで、なぜ爪をもむと免疫力が上がるのでしょう?実は、爪の生え際には、人体にとって非常に重要な組織が密集しています。この重要な組織を刺激するからこそ、免疫力が上がる、というのが爪もみの理論です。
神経には、脳から脊髄にかけて存在する「中枢神経」と、中枢神経から枝分かれする「末梢神経」があります。
末梢神経は、神経・腕や足など意志で動かせる「運動神経」と、神経・呼吸器など意志では動かせない「自律神経」に分かれています。
自律神経は、体を動かしたりして活発になっている時に働く「交感神経」と、体の動きが少ない時に働く「副交感神経」に分かれます。
ちなみに、「神経線維」が束になったものを「神経」と言います。
指の先、爪の生え際には、神経の終末部分である神経繊維などが密集しており、主に副交感神経が存在しています(薬指だけは交感神経)。
したがって、爪の生え際を刺激することは副交感神経を活性化させます。副交感神経が活性化されれば、免疫力が向上することが分かっており、内臓などの不具合の改善が期待できます。
心臓から送り出された血液は、酸素を運搬するために全身をめぐります。酸素を運搬するための血管のことを「動脈」と言います。太い動脈は、体の細部に行くにつれて徐々に細くなり、やがて最後は「毛細血管」という目に見えないような細い管になります。
血液は、往路の動脈を通り、指先、足の差し、頭のてっぺんに存在する毛細血管を折り返し地点として、復路(静脈)へと入ります。復路では、動脈のときとは反対に、徐々に血管が太くなっていき、やがて心臓へと戻ります。
この折り返し地点はとても大事なポイントで、毛細血管の中に老廃物が多かった場合、血液の流れが悪くなります。
その際、爪の先を押してあげると、血流が改善し、酸素を運搬し終えた血液が静脈へ帰りやすくなるのです。血流の改善は、免疫力をアップさせるための基本になります。
以上、2つの理論的背景を根拠として、爪もみは免疫力アップに効果的と言われています。
なお、爪もみは、医師である福田稔氏と、新潟大学大学院教授である安保徹氏の協働によって提唱されたものです。正式には「爪もみ」ではなく、「自律神経免疫療法」と言います。もともと、安田氏の基礎研究が土台にあり、そこから導き出された仮説的理論です。しかし、実際に爪もみを行って、実際に症状が改善したという例も報告されています。
中国の医学では、病気にかかりにくくなる効果があるとの見解から、古くから爪の生え際に灸を据える療法があります。