笑うことで免疫力がアップするという、その効果や実際のデータについて紹介しています。
笑うことで免疫力がアップすると言われています。笑うと、副交感神経と交感神経が頻繁に切り替わり、体内の器官や脳に刺激が伝わります。これにより、神経ペプチドという免疫機能を活性化させるホルモンが分泌されて、免疫力がアップします。
単純に笑うだけでも免疫力はアップしますが、この効果は「作り笑い」においても有効で、医学的にも証明されています。
笑う時に動いた顔の筋肉が脳に働きかけて、血管が拡張し、血行が良くなります。
また、お腹に力を入れながら呼吸をすると、必然的に腹式呼吸になります。そのため、お腹をかかえて笑ったり、笑いすぎてお腹が痛くなる現象は、免疫力を向上させる効果があるので非常に有効です。
現在のところ指摘されている科学的背景としては、「笑うことで腸の免疫細胞が刺激され、活性化する」ということ。
免疫細胞の約70%は腸のあたりに存在すると言われています。腸は、ストレスなどの精神的な影響を多く受ける臓器です。
ストレス同様、笑うことも精神活動のひとつなので、自律神経に影響を与えて、腸になんらかの影響を及ぼすとされています。
笑いと免疫の関係性については、「笑いは、ストレスと逆の精神活動を行うので、副交感神経が優勢になり、免疫細胞が活性化する」という説が有力です。
笑いにはガンを抑制する作用もあると言われています。笑いは、腸に多く存在するNK細胞などの免疫細胞を活性化させ、ガンの進行を遅らせたり、ガンの痛みを軽減させる効果がある、と言われています。
笑うことで免疫力を向上させる方法は、ガン病棟では広く認知されている一般的な手法です。治療の一環の中に、落語や漫才など、患者を笑わせるプログラムを導入している病院もあります。
笑いのガン抑制効果は上記の通りですが、それ以外にも、いくつかの医学的データがあります。
笑いと認知症の関連を研究する大平哲也氏(大阪大学大学院医学系研究科准教授)は、笑いは認知症の進行を遅らせる可能性がある、と指摘しています。
認知症患者の症状の進行を調査し、「ほぼ毎日笑う人」は「ほとんど笑わない人」に比べて、1年後の認知症の進行が著しく遅いということを確認しています。
※メンタルヘルス学習会の講演資料「笑いと認知症ケア」を参照させていただきました。
URL:ghkyo.or.jp/ghkyo/taikaishiryou2/kyouiku1.pdf
リウマチ患者の集団に対して、「①リウマチに関する講義を40分聞かせる」「②落語を40分聞かせる」という2つの実験を行いました。すると、驚くべき結果が得られたのです。
①は、免疫の働きを弱めてしまう「インターロイキン6」や「コルチゾール」などのストレスホルモンを平常よりも増加させることが分かりました。一方、②ではストレスホルモンの著しい減少を確認。この減少量は、鎮痛剤1週間分に匹敵するほどだったとのことです。
このことからも、笑うことが免疫力アップに繋がることが分かりますね。
男性よりも女性のほうがよく笑うようです。あるデータによると、「声を出してよく笑う」人は、男性で約40%、女性で約60%とのこと。笑いが免疫力を向上させることが確かであれば、男性よりも女性のほうが免疫力が高い、ということになります。
生まれて間もない赤ちゃんでも、誰に教えられたわけでもなく、時おり、笑顔を見せます。ほぼ本能だけで生きている赤ちゃんが「笑う」という行為をすること自体、不思議だと思いませんか?笑うことは、人間のDNAに備わった自己防衛本能のひとつなのかも知れません。