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体温を上げて免疫力を高めるには

免疫力をアップさせる体温の上げ方、および体温と免疫力との関係についてまとめました。

体温を上げて免疫力をアップさせるための行動

「体温を高めると免疫力がアップする」ことは、医学的にもほぼ常識とされています。その理由は後述するとして、ここではまず、体温を上げる方法について見ていきましょう。

  • 暖房設備を適宜使用する
    肌寒い季節が近づいてきたら、体温を下げないことが重要です。真冬に外に出ると、一時的に寒さを感じますが、これが体温を下げる大きな要因にはなりません。問題は「少し寒く感じる状態が長時間続く」こと。屋内にいる場合は、空調を管理して、寒さを感じない温度帯をキープしましょう。
  • 1日30分歩く(足の筋肉を維持する)
    人間の筋肉の70%は下半身に存在し、人間の体温の40%はそこから生成されます。歩くことで、体全体の筋肉比率を効率的に維持することができ、体温維持にもつながります。ウォーキングは、体温がもっとも低い朝に行うのが効果的。30分のウォーキングで、体温は0.7~1.0℃上がると言われています。
  • 毎日湯船に浸かる
    日本人に長寿が多いのは、湯船に浸かる文化によるものと考えられています。最近では入浴せずにシャワーだけで済ます人が増えていますが、10分間浸かれば体温が約1℃上がるので、できれば毎日、湯船に浸かるようにしましょう。
  • スクワットをする
    足の筋肉を鍛えることが、効率的な体温維持に繋がります。そのため、スクワットは非常に効果的です。入浴後に行うことによって、さらに体温を上げる効果が期待できます。
  • 白湯を飲む
    起床時は体温が低くなっているので、冷たい飲み物ではなく白湯を飲むようにしましょう。冷たい牛乳やジュースなどを飲むと、さらに下げてしまう恐れがあります。
  • 料理に生姜を使う
    生姜には体温を上昇させる効果があることで知られます。経験的にそれを知る日本人は、風邪をひいた時にショウガ湯を飲む文化があります。漢方でも、生姜は内臓の温度を上げる薬効があるとされています。

体温と免疫の関係を研究する石原結實博士の学説

テレビや雑誌、書籍でも知られ、体温と免疫の関係を研究している、イシハラクリニックの院長、石原 結實博士。石原博士は、体温が下がると免疫力が下がり、様々な病気の原因になることを指摘しています。さらに、最近の日本人は、昔に比べて低体温であることに警鐘を鳴らしています。

以下、石原博士の提唱する学説を簡単に紹介します。

石原博士の学説

人は、体温が1℃下がれば、免疫力が37%下がります。一方、体温が1℃上がれば、免疫力が5倍になります。風邪を引くと熱が出ますが、これは体温を上げることで免疫力をアップさせ、ウイルスを撃退しようとする、自律神経の働きによるものです。

また、ガン細胞は35℃台でもっともよく繁殖し、39.3℃になると死滅します。このように、ガン細胞は熱に弱い傾向があります。近年、ガン患者が増えている要因のひとつとして、全体的に体温が低下しているからではないか、と考えられています。

以前は、成人の平均体温が36.5~36.8℃でした。それが現代では、体温が高い人でも36.2~36.3℃。なかには、35℃台の体温の人も増えているようです。

低体温化の原因

現代人の低体温化の原因は、主に3つ考えられます。1つ目が体を動かす機会が減ったこと、2つ目が過度な減塩、3つ目が冷たい飲み物の過剰摂取によるものです。

  • 現代人は体を動かす機会が少ない
    高度経済成長期以降、移動手段の発展、および産業構造の変化に伴って、体を動かす機会が減ってきました。とくに足を動かさなくなってきたことが筋肉量の減少を招き、体温の低下へと繋がっています。
  • 現代人は過度な減塩をする
    塩分の取り過ぎは高血圧になるということもあり、悪者扱いされがちですが、塩分は生命活動の根幹をなす重要なミネラルでもあります。化学合成された塩は摂らないほうが良いですが、自然塩は必要量をしっかりと補充するようにしましょう。
  • 現代人は冷たい飲み物を飲み過ぎ
    現代人は、年中冷たい飲み物を飲む傾向にあります。冷たい飲み物を飲むと、体温が急激に低下します。また、水やお茶以外の飲み物は、冷たいだけでなく糖分も多いため、ますます体温を下げる原因になってしまいます。

体温上昇と免疫力アップの関係を解明

自然科学機構・生理学研究所の加塩 麻紀子研究員・富永 真琴教授らの研究グループは、「体温と免疫の関係」について重大な発見をしました。その具体的な内容は、米国科学アカデミー紀要の電子版に掲載されていますが、ここでは、その発見を概略的に紹介します。

体温上昇により免疫細胞が活性化する仕組みを解明

細菌や異物が体内に入ってくると、「マクロファージ」と呼ばれる免疫細胞が現れ、これら細菌を食べてしまいます。

マクロファージは、細菌を食べる際に過酸化水素を発生させます。これにより、体内の温度センサー「TRPM2(トリップ・エムツー)」という組織が急に機能し、その結果、マクロファージをより一層強くして免疫力を高めます。

TRPM2は、本来、48℃くらいの温度を感知したときに働く組織ですが、加塩研究員・富永教授らは、「TRPM2が過酸化水素の影響を受けると、約38.5℃でマクロファージが増強する」ことを発見しました。

免疫細胞「マクロファージ」は、過酸化水素の影響を受けたTRPM2の働きによって増強されます。現在は、このメカニズムを応用した新薬や治療法の開発が期待されています。

※自然科学機構生理学研究所の加塩麻紀子研究員・富永真琴教授らの研究を参照させていただきました。
URL:http://www.nips.ac.jp/contents/release/entry/2012/04/-trpm2.html

免疫マン

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