風邪を引いた時の強い味方でもある抗生物質は、使い過ぎると免疫力が低下することも。ここでは、抗生物質との付き合い方について解説します。
風邪を引いた時などに病院で処方される抗生物質。体内に侵入した細菌を殺すための薬ですが、実は、抗生物質は免疫力を下げてしまう原因にもなります。
医学的には常識なのですが、あまり強く唱えられていないため、知らなかったという人も多いかもしれません。
抗生物質は、体内に入ってきた悪い細菌を殺します。この作用によって病気は急速に改善しますが、一方で、体内にもとから存在する必要な細菌までも一緒に殺してしまいます。
腸の中には、体の免疫細胞の約70%が存在していると言われていますが、抗生物質はこの善玉菌までも殺してしまうのです。
善玉菌の数が減ってしまうと、免疫細胞の力が弱くなり、結果として、「風邪などの病気は治るものの、体全体の免疫力は急速に低下してしまう」ことになるのです。
抗生物質を飲むと、たとえば1週間も長患いしてきた風邪が、わずか数時間で治ってしまうこともあります。
それだけ抗生物質は強力な薬なのですが、多くの人は「もう熱は下がった」と判断した時に、医師の指示に反して抗生物質の服用を中止してしまうことがあります。
細菌は、抗生物質1錠や2錠で全滅するわけではありません。体調が回復した時点でも、まだ細菌は少しだけ残っています。この残った細菌を殺し切らずに抗生物質の服用をやめてしまうと、今度は、抗生物質が効かなくなる「耐性菌」に変異して、体内で増殖します。
その影響でなんらかの体調不良が生じた場合、症状を改善させるには、より強い抗生物質が必要となります。ここでまた殺し切らなければ、さらに強い耐性菌に変異して増殖してしまうのです。
このようなイタチごっこに陥らないためには、最初から抗生物質に頼り過ぎないことが重要です。風邪を引いて熱が出たとしても、抗生物質ではなく、自己免疫力で改善させるよう訓練しないと、耐性の弱い体になってしまいます。
そもそも、熱とは、免疫細胞を活性化させるための自律神経の働きです。これを抗生物質や解熱剤などで人工的に下げてしまっては、免疫細胞は眠ったままになります。
後遺症が残るような強い症状が出ている場合は別ですが、なんらかの症状で医師に診てもらう際には、なるべく抗生物質を使わない方向で治したい旨を相談してみましょう。